フランスパン。カリカリの皮(クラスト)ともっちりとした中身(クラム)。香ばしい香りと味わい。とてもシンプルながら、めちゃくちゃ奥が深く、そして美味しいパンです。
あなたはフランスパンについてどれくらい知っているでしょうか?
日本においてフランスパンは「一部のパン好きが好んで食べるパン」という印象が(私は)あります。日本人は食パンやロールパンが好きですもんね。
実際、スーパーのパン売り場に並べられているパンは食パンやロールパン、コッペパンや菓子パンといった「しっとり柔らか系(ソフト系)」のパンがほとんどです。
一説によると、日本人は欧米人と比べて唾液の量が少ないため、硬いパンを食べにくい体質であるらしいですね。
ですがそれはあくまでも一説。食べなれれば食べにくさを感じることもありませんし、食パンやロールパンにはない味わいに虜になることでしょう。
今回はそんなフランスパンについてのあれこれや魅力を伝えていきます。
目次
フランスパンはフランスの食事パン
フランスパンってどんなパン?端的に答えるならば、「フランスの食事パン」です。当たり前ですね。
フランスパンと言われてイメージするのは、長細い形のパンだと思います。
これは「バゲット」という名前のフランスパンです。日本人が思い浮かべる「ザ・フランスパン」ですね。
フランスパンは特定のパンの名前ではなく、フランスのパンの中でも、主に主食として食べるような「食事パン」を指す総称です。長さや形、使う材料によって様々なパンがあり、それぞれに違った名前が付けられています。
フランスパンは硬いパンだけではない
「フランスパン=硬いパン」というイメージを持っていませんか?
確かに硬いパンは多いです。先ほど出てきたバゲットは硬いパンで、むしろその硬さ(や香ばしさ)を楽しむパンだったりします。
ですが、全てのフランスパンが硬いわけではありません。
例えば、「カンパーニュ」と呼ばれるフランスパン。
カンパーニュは大型のどっしりとしたパンで、レシピによっては少量の小麦全粒粉やライ麦粉が配合されているものもあります。
皮(クラスト)こそカリカリですが、大きいパンなので中身(クラム)は適度に水分が残り、しっとりしていて食べやすく感じるのではないかと思います。
他には、「パンドミ」と呼ばれるフランスパン。
「えっ?これって食パンじゃないの?」と思いました?見た目は食パンとあまり変わりませんよね。
パンドミはフランスパンの生地を型に入れて焼き上げたパンです。型に入れて焼くと水分が抜けにくくなるため、しっとりとした食感にすることができます。
ちなみにパンドミとは「パンの中身」という意味。
本場フランスではカリカリの硬い皮の部分(クラスト)が好まれると聞きます。それに対し、パンドミはあえてしっとりした部分を食べたい人向けのパンなんですね。
フランスパンの材料は超シンプル
フランスパンを作るのに最低限必要な材料は、イースト菌(発酵種)、小麦粉、塩、水の4種類だけです。超シンプルでしょ?
実際にはそれらに加えてモルトシロップ(麦芽シロップ)を入れることが多いので、5種類ですが、それでもシンプルです。
フランスパンのようにシンプルな材料で作られるパンを業界(?)では「リーンなパン」と呼びます。リーン、つまり余計なものが入っていないシンプルなパンという意味です。
砂糖や卵、バターは入りません。シンプルだからこそ味わえる小麦粉の味、香り。そして発酵によってつくられる豊かな香り、フレーバーがフランスパンの魅力の一つです。
ちなみにですが、スーパーで売られているような袋入りのフランスパンは砂糖や油脂が入っているものも多いです。原材料のラベルを確認してみてください。
また、ソフトフランスパンと呼ばれているフランスパンっぽい柔らかいパンにも砂糖や油脂が入っているものが多いです。
そういったフランスパン「っぽい」パンは本物のフランスパンとは全くの別物です。
好みの問題なので柔らかいパンが好きならそれはそれでもちろんOK。食事の好みに他人が口出しするなって感じですよね!そこまで言ってない?
ただ、全くの別物であるということを知っておいてほしいだけなんです。
素材の味や熟成の旨味を味わえる
フランスパンは余計な材料が入らないので、素材の味や熟成の旨味を味わうことができます。
フランスパンには砂糖が入っていませんが、食べてみるとほんのりと甘さを感じるはずです。それは小麦粉本来の甘さや、イースト菌(発酵種)の力で小麦粉のたんぱく質が分解され、作り出された糖の甘さです。
フランスパンにはバターが入っていないので、バター由来の香りやフレーバーはしませんが、香ばしく焼けた皮(クラスト)から感じる香りや、熟成によって引き出された香りなど、芳醇なフレーバーを感じることができます。
伝統的な製法で作られたフランスパンは食パンやロールパンなどと比べてより長い時間発酵させるため、イースト菌(発酵種)が十分に働くことができます。
イースト菌(発酵種)が十分に働くとパン生地の熟成が進み、しっかりした旨味を味わうことができます。
このように、フランスパンは砂糖やバターなどの副材料に頼らない自然な味わいをもっています。どうですか?ちょっとフランスパンを食べたくなってきたでしょ?
フランスパンは大きさや形で名前が変わる
フランスパンは生地の量や形によって名前が変わります。不思議でしょ?
もうちょっと正確に言うと、「かつてフランスではパンによって生地の量や形がルールで決められていた」んですね。
例えばさっき出てきた「バゲット」は生地量350gで長さは約60cm。同じ生地量350gでも長さを約40cmにすると「バタール」。棒状にしないでまん丸の形に成形して焼き上げると「ブール」。ほかにもたくさんあります。
こんな感じで、同じ材料を使って作った生地でも、量や形を変えると名前も変わるという面白い特徴を持ったパンなんですよ。
現在ではそういった厳密なルールはなくなりまして、自由に名前を付けているそうです。さらに言えば、それはフランスの話なので日本においては元々自由だったわけです。
日本のパン屋さんを覗いてみると、明らかに短いフランスパンがバゲットという名前で売られていたり、バゲットが「フランスパン」という超ストレートな商品名で売られたりしています。
フランスパンはパン屋さんで買おう
フランスパン、ちょっと気になってきたんじゃないでしょうか?(強引)
もし、フランスパンを食べてみたくなったらぜひパン屋さんで買ってみてください。スーパーの袋入りのものは別物です。
フランスパンはシンプルな分、作り手の技量が試されるパンでもあります。フランスパンを推しているパン屋さんや、フランス人がやってます的なパン屋さん(都内とかは結構見かけるよね)はちゃんとした本物のフランスパンを焼いているはずです。
そういうお店が近くにない場合は、自分で作っちゃうってのも一つの手段ですね。専門店並みのクオリティは難しいかもしれませんが、自宅でも美味しいフランスパンは焼けます。
私はフランスパンがとても好きなので、ぜひ興味を持ってほしいと思っています。
日常の食卓に、フランスパンを取り入れてみませんか?
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