今回は基本のフランスパンのレシピと、使用する材料を紹介していきます。
フランスパンは世界中に数あるパンの中でも、非常にシンプルなパンの一つです。
フランスパンを作るために最低限必要な材料はたったの4つ。それは、
- 小麦粉
- イースト菌(発酵種)
- 塩
- 水
たったこれだけ。ね、超シンプルでしょ?
実際には、これにもう一つ材料をプラスして作ることが多いです。それはモルトシロップ(麦芽シロップ)です。
それを含めてもたった5種類の材料だけであれだけ美味しいパンがつくれるなんて、不思議ですね。
フランスパンってどんなパン?気にはなるけどよく知らないな、って方は、まずこちらの記事を読んでみてくださいね。フランスパンについて、ざっくりと説明しています。
→【関連記事】フランスパンってどんなパン?パン職人がフランスパンについてざっくり説明してみた
目次
基本のフランスパンレシピ(材料・配合)
基本のフランスパンに使う材料は、先ほど説明した通り
- 小麦粉
- イースト菌(発酵種)
- 塩
- 水
この4つです。この4つのシンプルな材料さえ用意すれば、おうちでフランスパンを作ることができます。
基本的なレシピは
- 小麦粉(中力粉):100g
- インスタントドライイースト:0.3g
- 塩:2g
- 水:70g
となっています。
もしモルトシロップを用意できるのなら、モルトシロップを0.2g入れます。
レシピを見てお気づきかと思いますが、フランスパン作りに使う材料は0.1g単位で量らないといけないものがありますので、0.1g単位で計量できるデジタルスケールを用意していただきたいと思います。
それぞれの材料について、詳しく見ていきましょう。
フランスパンの材料①小麦粉
フランスパン作りに使う小麦粉は、主に中力粉です。
小麦粉には強力粉、中力粉、薄力粉があります。厳密に分けるともっとありますが、一般的なのはこの3種類ですよね。
食パンやロールパンなどのふわふわなパン作りに適しているのは強力粉ですが、フランスパン作りに適しているのは中力粉です。
フランスパン用粉や準強力粉と書かれている小麦粉もありますが、これもフランスパン作りに適した小麦粉です。
おすすめなのは日清製粉の「リスドォル」という製品名の小麦粉(準強力粉)。これはフランスパン作りに使う小麦粉としてはとてもメジャーなもので、プロのパン職人も使用する小麦粉です。
個人的には業務スーパーオリジナルの中力粉をよく使っています。あれ、安いんですよ。コスパ最高です。
フランスパンの材料②インスタントドライイースト
パンを膨らませるためにはイースト菌などの発酵種が必要です。
製品としてのイーストには色々な種類がありますが、一般的なのはインスタントドライイーストですね。
インスタントドライイーストは顆粒状で、日持ちがするので扱いやすいです。
それとは別に生イーストという、しっとりとしたブロック状のイーストもありますが、日持ちしませんし、何より専門的な材料なので入手しづらいです。インスタントドライイーストが良いでしょう。
インスタントドライイーストはスーパーでも売っていますし、こだわるなら「サフ・インスタントドライイースト赤」というプロ御用達のものもおすすめです。
個包装タイプのものもあるので、たまにしか使わない方にとっては扱いやすいんじゃないでしょうか。
最近はあまり見かけませんが、「インスタント」が付かない「ドライイースト」というものもあります。
これは予備発酵というものが必要で、ちょっと手間なので間違えないようにしましょう。
フランスパンの材料③塩
塩はどんなものを使ってもらってもOKです。普通の食塩でもいいですし、こだわって岩塩を使ってもいいです。
フランス産のゲランドの塩は私も使っていたことがあります。フランスパンに力を入れているお店は、結構使っているんじゃないでしょうか。
フランスパンの材料④水
水は水道水でOKですが、こだわりのある方はお好みのミネラルウォーター等を使ってもらって構いません。
ただ、注意が必要なのは硬水です。
硬水はパンの生地を引き締める効果があるので、入れる場合は水の量の2割までにした方が良いです。
逆に言えば、硬水を2割入れることで扱いやすく、ボリュームの出やすい生地を作ることができます。
コントレックスは超硬水として有名なミネラルウォーターですよね。
本格的にフランスパンを作りたいならモルトシロップも用意しよう
モルトシロップはフランスパンの生地に入れることで、発酵が促される、生地に伸びやすくなる、焼き色がきれいにつきやすくなるといった効果があります。
あまり一般的な材料ではないですし、なくても一応フランスパンは焼けるので入れなくてもいいですが、本格的にフランスパンを作ってみたいなら用意した方が良いでしょう。
基本のフランスパンレシピ(作り方・工程)
フランスパンには色々な種類がありますが、今回はバゲットの作り方を紹介します。
本来バゲットは60cm程度の細長いフランスパンですが、家庭用オーブンで焼くことを考え、半分の30cmで作っていきます。
小麦粉100gの配合で30cmのバゲットが1本作れます。
1.仕込み(生地作り)
ボウルに小麦粉と水を入れて、粉っぽさがなくなるまで混ぜ合わせます。モルトシロップを用意した場合は、このタイミングで水に溶かして入れましょう。
水は夏場なら氷を入れて冷やした冷水、冬場ならぬるま湯、春秋なら常温のものを使います(目安)。
捏ねるというよりは、混ぜ合わせる感覚で、粉と水が完全に混ざればOK。できたら生地の上にインスタントドライイーストを振りかけ、30分間置いておきます。乾燥しないように、濡れふきんをかけたり、ラップをしておきましょう。
この様に、インスタントドライイーストと塩を入れずに混ぜ合わせた生地をしばらく置いておく製法を「オートリーズ」と言います。伝統的なフランスパン作りではよく使う製法です。
オートリーズをすることで生地がつながりやすくなり、しっかりとした生地を作ることができます。
30分経ったらインスタントドライイーストが混ざるまで捏ね、塩を追加し更に捏ねます。
生地が滑らかになるまで捏ねれば完成です。
フランスパンの生地の捏ね具合は、食パンやコッペパンなどのふわふわなパンの生地と比べ、控えめでOKです。
生地ができ上ったら忘れずに温度を測りましょう。この時、生地温度が24℃ならベストです。
生地温度が高いと発酵は早く進み、低ければ遅くなります。この後の工程で示す発酵時間は生地温度が24℃だった場合の目安なので、ずれた場合は発酵時間を長くしたり短くしたりなどの調整が必要です。
このようにパン作りでは温度管理が非常に重要になります。もし料理用の温度計を持っていない場合は、あった方が上手にパンがつくれます。
また、生地仕込みに使った水の温度と、捏ねあがった時の生地温度を記録しておくと次回に活かせるのでおすすめです。
2.一次発酵
生地ができ上ったら、90分間発酵させます(一次発酵)。できるだけ30℃に近いところで、乾燥しないように濡れふきんやラップをかけて発酵させましょう。
発酵機能があるオーブンレンジをお使いの場合、それを使うととても便利です。
3.パンチ
90分間経ったら、生地にパンチをします。
パンチというのは生地にたまったガスを抜き、生地を折りたたむことで力をつけ、発酵を促進させる工程です。
くっつかないように手粉(打ち粉)をふった作業台に生地を出し、手のひらで優しく生地を押さえ、ガスを抜きながら正方形に形を整えます。
その後、左右から生地を折りたたんで三段重ねにし、同じように上下から折りたたみます。
パンチを終えたら再び生地をボウルに戻し、乾燥しないようにして再び90分間発酵させます。
伝統的な製法のフランスパンは一次発酵を合計3時間行います。時間がかかるので大変ですが、長時間発酵させることでイースト菌がしっかりと働き、美味しいフランスパンになるのです。
4.分割・ベンチタイム
生地を切り分ける必要がある場合、好みの量に切り分けます。
切り分けた生地は手のひらで優しくガスを抜き、表面がきれいになるように、断面や細切れになった生地を内側に入れるように折りたたみ、表面を張らせておきます。
切り分ける必要がない場合(生地全量を使って1個のパンを作る場合)、手のひらで優しく押さえてガスを抜き、折りたたんで表面を張らせます。
この際、作るパンの形に合わせて生地の形を整えておきます。具体的には細長い棒状のフランスパンを作りたい場合は伸ばしやすいように楕円形に、丸い形のフランスパンを作りたい場合は丸い形にしておきます。
生地の形を整えたら、次の成形に備えて30分間生地を休ませます。この時間のことをベンチタイムと言います。ベンチタイム中も生地が乾燥しないように注意しましょう。
5.成形
生地を作業台に出し、手のひらで優しくガスを抜き、長方形になるように生地の形を整えます。この時、きれいな面が下になるようにしてください。
その後、上から真ん中に向けて一度折りたたみ、もう一度上から折りたたみ、指でつまんで閉じ目を閉じます。
優しく生地を転がし、およそ30cmになるように生地を伸ばします。
伸ばした生地はベーキングシートに乗せるか、キャンバス地のパンマットに乗せます。
パンマットを使う場合は、乗せたパンの両サイドのパンマットを折って壁にします。そうすることで、生地がだれるのを防ぐことができるのでおすすめです。
6.二次発酵
成形を終えた生地を約60分間発酵させます。できるだけ30℃に近いところで、乾燥しないように注意しながら発酵させましょう。
発酵時間は目安なので、こねあげ温度や発酵させる場所の温度で変わってきます。
初めのうちは適切な発酵具合が分からないかもしれませんが、時間を目安に一度やってみて、その結果を次回に活かしていきましょう。
7.仕上げ(クープ)
二次発酵を終え、膨らんだ生地に仕上げをしていきます。
もしパンマットを使っている場合は、仕上げる前にベーキングシートにパンを移します。移し方は木の板等にパンを転がせてのせ、そしてベーキングシートに転がせて移し替えます。
プロはよく木の板にストッキングを被せたものを使っています。私は自宅では牛乳パックを折りたたんだものを使っています。
フランスパンは焼く前に表面にカットを入れます。カットを入れることを業界(?)では「クープを入れる」と言います。
膨らんだパンの表面は(しっかりと乾燥対策をしていれば)べたついているので、表面を少し乾かしてからカミソリやナイフを使ってクープを入れていきます。少し乾かさないと、きれいにクープを入れることができません。
クープの入れ方や入れる数はお好みですが、30cmのバゲットだと3本カットを入れるとバランスがいいと思います。
ただ、このクープ、正直難しいです。
プロでもめっちゃ練習するので、フランスパン作りの壁の一つと言ってもいいかもしれません。
やることは、斜めにカットを入れるだけです。文字にするとシンプルですが、これがなかなか奥が深くて。
カットは薄く、表面をはぐように斜めに刃を入れます。3本のカットはそれぞれ1/3が重なり合い、3本のカットの始まりの位置と終わりの位置はすべて同じ高さにします。
ね、結構難しそうでしょ?ちょっと無理そうだなーと思ったら、横一文字に1本クープを入れましょう。それでも全然OK。
8.焼成
クープを入れたらすぐに焼きましょう。焼成温度はオーブンによって異なりますが、目安としては250℃で予熱したオーブンで5分焼き、230℃に落として20分焼きます。
焼く工程にタイミングが合うように、事前にオーブンの予熱をしておきましょう。その際、天板はオーブンに入れたまま予熱します。
予熱をしていない天板に乗せて焼くと熱の伝わりが悪く、ボリュームが出にくくなり、クープが割れにくくなります。
パンを入れる際は木の板等にベーキングシートごとパンを乗せ、滑らせるようにしてオーブンに入れます。
フランスパンを焼く際に、ポイントとなるのがスチームです。フランスパンはスチームを入れながら焼く必要ながあります。
スチームを入れることで表面が焼き固まるのが遅れ、クープがきれいに開き、余計な水分がそこから逃げていきます。
オーブンにスチーム機能がある場合はそれを使いましょう。ない場合は予熱時に小さな金属製のバット等を入れておき、パンを入れたらバットに熱湯を100ml程度入れてすぐに扉を閉じ、焼きます。
ここまでの工程をうまく進めることができれば、家庭でも十分美味しいフランスパンを焼くことができますよ。
さいごに
さて、今回は基本的なフランスパンのレシピとして使う材料や配合、作り方を紹介してきましたがいかがだったでしょうか。
もし興味がわけば、フランスパン作りにチャレンジしてみるのもいいと思います。
個人的には、パン作りって結構良い趣味なんじゃないかと思うんですよね。おうちでできて、作ったものが実際に残るので試行錯誤でき、どんどんうまく焼けるようになると成長を感じることができます。
しかもそれを美味しく食べることができるので、自分が作ったパンを朝食に頂いたり、サンドイッチにしてランチにするなんて、とってもいいと思うんですけどいかがでしょうか。
パン作りに興味がわかなくても、フランスパンに興味を持ってもらえると私はとても嬉しいです。私はフランスパン大好きですからね。
この記事が、少しでもフランスパンに興味をもって、フランスパンを食べる機会になれば幸いです。
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